タイトルページ スライド1 なぜDPI女性障害者ネットワークは 国際ロビーイング活動に派遣を決めたのか? 2015年10月 スライド2 * なぜ国際ロビーイングに派遣? * 障害女性の課題をメインストリーム化していくチャンスの時だから。 ・ 直接出かけて委員等と会い、生の声を伝えることの意味は大きい。 ・ 場数を踏むことはエンパワメントにもなる。 (補足) ロビーイング=政策に影響を与えようとする活動 メインストリーム化 =主流化 障害のある女性は、まるで存在していないかのような扱いを受けてきた。障害女性の課題に取り組むことを当たり前のことにしていくこと。 エンパワメント=その人がもっている力を充分に発揮していくこと、それができるような取組。 国連の委員などに生の声を伝える場数を踏む経験を積むことは、エンパワメントになり、国際的なネットワークになる。 スライド3 * 国内外に働きかけてきたこと * 障害のある女性の複合差別に重点課題として取り組むこと ・ そのためには法律条文から明記が必要。2010年に障害者基本法改正を求め て声をあげたとき、「立法事実を示せ」と言われたが、政府統計や調査から わかることは乏しい。 ・ 自分たちの手で実態の可視化をと複合差別実態調査をおこない、調査報告 会やヒアリングも反響があった。法律を変え、具体計画に入れ、政策の視野 にも入っていなかった障害女性の、複合差別の実態を変えることをめざして いる。 (補足) 立法事実=法律の根拠になる数やデータや事例 スライド4 * これまで国連への働きかけは * 条約や勧告に示される国際的潮流からみて日本はどうなのか明らかにして 日本政府の姿勢を変えようとしてきた。 ・ これまで女性差別撤廃委員会や自由権規約委員会にレポートや課題リスト を送ってきた。グループでカンパを呼びかけて派遣できたのは、今年7月の 女性差別撤廃委員会事前審査が初。 ・ 女性差別撤廃委員会に働きかけたことが勧告となって、国内の活動も反映 して、「障害女性の複合的な困難という課題がある」ことまでは男女共同参 画基本計画、障害者基本計画、差別解消法の基本方針に入った。 (補足) 2006年にかけては障害者権利条約を成立させることに力を注いだ。 自由権規約委員会の際は、今年7月のように人を送ることはできなかったが、強制不妊手術を受けさせられ調査と謝罪を求め続けてきた佐々木千鶴子さんの写真を掲げた「私はここにいる」というタイトルのチラシを、行く人に持っていってもらい、委員などに配布して訴えることができた。 スライド5 * 審査の流れとNGO活動 女性差別撤廃委員会(CEDAW) 2014年9月 第7.8回 日本政府報告公表 * 事前作業部会 ・委員会にて、日本政府に対する課題リスト(LOI)の検討(2015年7月27〜 30日) ・委員会から日本政府に対して質問事項の公表(2015年7月30日)  ←NGOブリーフィング ↓ * 日本審査部会の開催(2016年2月) ・委員会からの質問事項に対する日本政府回答(2015年内に委員会に提出)  委員会で公開で日本審査実施  ←質問事項に対するNGOレポート(サイドイベントの実施)日本審査の傍聴 ↓ * 日本に対する最終見解(2016年 ?月頃) ・委員会から日本政府に「最終見解」(懸念や勧告の表明)  日本政府と委員会の間で追加質問←→回答の可能性あり     ←フォローアップ項目へのNGOレポート用意 国内啓発活動 (補足) ここからは国連委員会の審査の流れと、そのなかで非政府組織はどんな活動ができるか可能性について述べる。 NGO=非政府組織 ブリーフィング=短時間の報告 フォローアップ項目=追加質問 スライド6 * 国連 人権条約の連携による効果 * 女性差別撤廃条約 ・第7.8次日本審査 2016年2月 ・日本に対する最終見解 (2016年?月) * 障害者権利条約 ・初日本審査 2016年6月以降 ・日本に対する最終見解 (2020年?) * 国際人権規約(社会権規約) ・第3回日本政府報告書に対する総括所見(最終見解)2013年5月 ・次の日本に対する総括所見(2020年?) スライド7 *委員会へNGO働きかけの可能性 *障害者権利委員会と女性差別撤廃委員会の合同で、障害をもった女性に関 する「一般勧告」を策定する。 1991年の策定された一般勧告は短く内容的に不十分であった。2委員会の共同で 策定することに意義。(第18号女性障害者(第10回会期、1991年) http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/pdf/kankoku1-25.pdf *一般勧告とは? 正式な文書であり、国際人権法の発展の重要な要素を構成するものである。 そこに示された見解は、厳密な意味での法的拘束力こそ有しないものの、条 約の規定に関するひとつの権威ある解釈として、締約国の政府や裁判所等に よって正当に尊重されなければならない。 スライド8 * 国連勧告から国内計画へ * 2009年 女性差別撤廃委員会勧告 ・ 「マイノリティ女性、社会的に弱い立場にある女性の現状について包括的 な調査研究を実施し、特有のニーズに対応するジェンダーに配慮した政策や プログラムを導入するよう要請する」 * 2010年 第三次男女共同参画基本計画 ・ 「障害のある女性は、障害に加えて、女性であることでさらに複合的に困 難な状況に置かれている場合があることに留意する必要がある」 →障害者制度改革の議論によって、障害者基本計画、差別解消法基本方針にも継承され た。 ・ 「障害者権利条約の原則を十分に踏まえるとともに、男女別の統計情報の 充実についても検討する」 →性別統計の課題は、障害者基本計画、公的統計の整備に関する基本的な計画も記述(2014年)。 スライド9 * 複合差別という固有の問題 * 性差別と障害者差別、両面からの取組が必要。 どちらの面においても、障害のある女性の複合差別という「固有の問題」 として、課題化しようとしている。 ・ 障害者の問題に取り組んでいれば自然に解決することはないし、女性の問 題に取り組んでいれば自然に解決することもない。 スライド10 * 女性やマイノリティの活動との連携 * 女性全体の人権の問題、ほかにもいくつもの差別が複合するマイノリティ の問題でもあり、男性を含む人権につながる。立場をこえた連携、国際的な 連帯が重要。 ・ 権利条約は障害当事者関係者が制定過程に積極参加したことも大きな特色。 「わたしたち抜きに私たちのことを決めるな」が、障害者権利条約制定過程 で合言葉となった。 ・ 第6条「障害のある女性」は世界の障害女性たちの声と活動を背景に独立 条文が定められた。 (補足) 「わたしたち抜きに私たちのことを決めるな」は今年の沖縄でも掲げられるなど幅広く使われるようになっている。 スライド11 * 権利条約第6条「障害のある女性」 * 1  締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていること を認識し、また、これに関しては、障害のある女性及び少女がすべての人権 及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。 * 2  締約国は、この条約に定める人権及び基本的自由の行使及び享有を女 性に保障することを目的として、女性の完全な発展、地位の向上及びエンパ ワメントを確保するためのすべての適切な措置をとる。 ・ 障害者差別解消法の附帯決議(2013年6月18日参議院) 1条 「同条約(権利条約)の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する 複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図るこ と。」 スライド12 * 現在の国内活動から * 日本政府報告案や障害者基本計画の進捗状況を監視する内閣府障害者政策 委員会の議論にも、障害女性の側から働きかけ * 権利条約第6条をモデルに法改正を要望 ・ 法律が「性別」という記述にとどめられていて、障害のある女性の複合的 な差別という記述がないことは、政府の取組に遅れをもたらしている。 ・ 地元の障害女性の活動を背景に、条例や基本計画において、国に先行して いる自治体もある。 * 障害者差別解消法のガイドライン案に対しても、合理的配慮の事例、研修、 相談など意見を送付 (補足) 障害者政策委員会28名のうち、障害のある女性は2名。補充をということも含めて委員会の内外から意見を出している。 スライド13 * 来年2016年は * 女性差別撤廃委員会での日本政府報告審査は、日本の障害者権利条約批准(2014年)後初の 本審査となる。 ・ 障害者権利委員会(障害者権利条約)のほうでも、批准後初の日本政府報 告の事前審査がおこなわれる予定。 ・ 国内法も、新設の障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法が施行となる。