障害のある女性の複合差別 共通テキスト資料集 1.はじめに,1 2.事例 暴力・性的被害・性と生殖と健康について,1 ひとこと,3 3.事例 「働く」ことと性別格差、性別役割分業について,4 ひとこと,4 4.これまでの議論から,6 5.求めていること,7 6.法律条文など,8 障害のある人の権利に関する条約(川島聡・長瀬修仮訳)2008年5月30日付,8 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)2004年改正法,8 障害者基本法,8 ひとこと,8 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略称=障害者差別解消法),9 障害者差別解消法 国会答弁(部分引用),9 障害者差別解消法の附帯決議,9 7.基本文書、基本計画など,10 第三次男女共同参画基本計画 (男女共同参画基本法にもとづいて閣議決定)2010年,10 障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)(内閣府障がい者制度改革推進会議),10 障害者制度改革の推進のための第二次意見(内閣府障がい者制度改革推進会議)2010年12月,10 第3次障害者基本計画(障害者基本法にもとづいて閣議決定) 2013年,10 8.地方条例と障害のある女性,11 沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例 2013年,11 京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例 2014年,11 ひとこと,11 9.付録,12 障害のある女性の困難を可視化して,12 全国初、「障害のある女性」への複合差別について盛り込んだ条例が京都府で成立 2014年3月11日,13 東日本大震災を受けて ― DPI女性障害者ネットワークからの発信,14 出生前診断に対するDPI女性障害者ネットワークの意見 2012年9月24日,15 「女性障害者3割セクハラ被害」2012年5月10日 毎日新聞,17 10.年表と今後の日程,18 ケーススタディ,18 話し合おう,18 11.DPI女性障害者ネットワークについて,19 DPI女性障害者ネットワーク $1. はじめに  現在の社会には障害者への差別、性による差別が根強くあります。障害があり、女性であることは、重複した差別を受けることで、問題は錯綜しており、解決も容易ではありません。このような状況を「複合差別」と言います。差別が複合的になることによって、単に足し算ではなく、掛け算的な文字どおり複合的な不利益に結びついていることが深刻な問題です。したがって、障害のある女性がこうむっている困難を解決していくには、複合差別という観点が不可欠なものです。ひとつの差別だけに着目すると他の差別が見えなくなり、複雑な問題を解きほぐすこともできなくなるからです。  このテキストは、障害があり女性であることでこうむる複合的な差別をテーマにしていますが、性的マイノリティ、国籍、民族や出自などによる差別と複合した問題についても知り合うことが大切です。障害のある女性たちの取組は、多様な複合差別の課題の解決にむけた取組への貢献にもなっています。  わたしたちは、障害のある女性の複合差別の課題を法律に明記して取り組む必要があると提起するたびに、障害があり女性であることによる明らかな差別の実例や、数字について質問を受けました。しかし、国の調査統計の多くが障害者を一括りに集計しているため、性別に関わるデータさえありません。もどかしさの中から、障害のある女性の困難を自分たちの手で可視化しようと、障害のある女性に「人生のなかでの生きにくさ」についてのアンケートと聴き取りをおこなった結果、事例にあるような経験と声が明らかになりました。 $2. 事例 暴力・性的被害・性と生殖と健康について [1]母の恋人から性的虐待を受けた。母の恋人が、私のお風呂介護をして胸等をさわられ、非常に辛い思いをした。母にその事を言うが、信じてもらえず最悪だった。(30歳代 肢体障害) [2]義兄からセクシャルハラスメントを受けたが誰にも言えない。自分は自立できず家を出られないし、家族を壊せないから。あまりに屈辱で言葉にできないから。(50歳代 視覚障害) [3]やっと就職できた職場の上司に「飲みに付き合え」と言われ、酔って眠ってしまい、ホテルに連れ込まれて性的暴行を受けた。その後も関係を強要され続けた。(30歳代 肢体障害) [4]一人で営業する鍼灸の治療所で、初めて来た男性患者さんが治療室へ入るなり全裸になった。何とか治療をしたが、以後、男性患者が怖い。(50歳代 視覚障害) [5]中学卒業後、職親の家に住み込みでお手伝いとして働かされた。いじめられたし、給料ももらえなかった。(60歳代 精神障害) [6]小学生のとき痴漢に遭った。助けを求めるにもコミュニケーションがいる。聴覚障害のため助けを呼べなかった。中学生のとき同じ犯人から再び被害にあった。(20歳代 聴覚障害) [7]施設で障害女性の入浴介助を、当然のように男性職員が行っていた。(20歳代 肢体障害) [8]かつて国立病院に入院中、女性の風呂とトイレの介助、生理パッドの取り替えを男性が行っていた。女性患者は皆いやがって同性介助を求めたが、体力的に女性では無理だといわれた。トイレの時間も決まっていて、それ以外は行かれない。トイレを仕切るカーテンも開けたままで、廊下から見えた。今も同様だと聞く。(50歳代 難病 肢体障害) [9]仕事や自分の療養で手一杯で、数日間家事ができないまま仕事に行こうとして夫と喧嘩になり、インスリンを打った後に朝食を床にぶちまけられた。低血糖で死ぬ危険があった。(40歳代 難病) [10]車イストイレが男性側にしかないときがあり、とても嫌な気分で入ります。(30歳代 肢体障害) [11]生理が始まった中学生のころ、母親から「生理はなくてもいいんじゃないの」と言われた。生理の介助が必要になるから手術して子宮を取るという意味だった。手術に同意しなかったが、言われただけで嫌だった。自分より年上の人にはよくあったことらしい。(40歳代 肢体障害) [12]以前は母や周りから「早く結婚して子供を産め」と言われたが、障害をもってから言われなくなった。そして、妊娠した時、障害児を産むのではないか?子供を育てられるのか?といった理由で、医者と母親から堕胎を勧められた。(40歳代 視覚障害 難病) [13]子宮筋腫がわかったとき、ドクターは子宮を取れば治ると言った。私が「赤ちゃんが産みたい」というと「えっ!!」と驚かれ、それを聞いて私は大泣きした。女である自分を否定された気がした。両親にも同じ反応をされたらと怖くて、言えなかった。(40歳代 肢体障害) [14]初めて出産した時、見舞いに来る人は必ず「耳は大丈夫?」「聞こえる子で良かったね。」と言った。普通は「おめでとう」なのに悲しかった。(30歳代 聴覚障害) [15]自分の生活にも不足な介助を受けての子育てに不安があった。子どもへの介助があれば、もてたかも知れない。子育てしている障害女性の情報も欲しかった。(40歳代 肢体障害) [16]妊娠して産婦人科の病院に通院していたが「うちでは視覚障害のある人は診ることができないので、他の病院に行ってほしい」と言われた。(30歳代 視覚障害) [17]女性だったら自分の体を知るべき、でも誰も教えてくれない。学校も教えてくれない。見直ししてほしい。新しい制度ができてもわからない。正しい情報を流してほしい。(30歳代 知的障害)  解説  「障害があり女性であるために受けたと感じた、あなたの経験、困ったこと、暮らしづらいと感じることをお書きください」という質問に回答した障害女性のうち35%が、性的被害の経験を述べています。女性一般がそうであるように、障害のある女性も、深刻で広範囲な性的被害やDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けています。しかし、必要な情報と支援が、障害のある本人には普段から届いていません。女性を支援する機関の窓口や避難施設の大半は、障害がある人の利用を想定していないため、相談することも通報も困難で、日常的な不安、恐怖、さまざまな暴力にさらされながら、支援を得られていない人が多くいます。このような状況を把握し課題と認識することが第一歩です。  月経の介助がいらないようにと子宮摘出を勧められた経験も回答されており、現在もありえることとしての検証と取組が求められています。障害のある子を産むのではないかと中絶を勧められるという経験は、昔も今も後を絶ちません。日本には1948年から「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことを目的とした「優生保護法」があり、遺伝性疾患や障害を理由とする不妊手術と人工妊娠中絶を合法とし、不妊手術は強制的に行うことも認めていました。「不良な子孫」とは障害をもつ人をさし、障害児を産む可能性があると見なされた人に、妊娠・出産をさせないための法律だったのです。「優生保護法」は1996年に現在の「母体保護法」に改正され、強制不妊手術の規定はなくなりましたが、それまでに本人の同意なしに行われた不妊手術の被害者は、公式統計だけでも約 16,500 人にのぼり、その約 70%が女性でした。  生活に必要な介助や援助を受けて生活することは、人としてあたりまえの暮らしに不可欠なことで、命と社会生活の質に直結します。ところが、障害がある人の介助保障は不十分で、とりわけ施設や病院では、障害女性が同性による介助を求めても労務管理などを理由に拒否されることが起きています。  障害女性が出産するにあたり、障害を理由として医療機関から診療を断られる例はとても多いです。[16]の人がその後に転院した病院では、どんなことが不便か本人に聞き、トイレに近い部屋にして、廊下に物を置かず、入院者が使う設備や什器にシールを貼り、食事の際に看護師が食器の位置や料理内容を説明するなど配慮しました。この実例は、障害のある人のニーズへの基本的な知識をもち提供する姿勢さえあればほぼどこの医療機関でもできる、合理的配慮の見本例と言えます。 $$ひとこと これらの場面では、私は常に一人ぼっちだった。目は見えず、逃げることができず、言葉さえ奪われかけていた。立場は弱く、腕力もなかった。それにもかかわらず、私は持てる知恵と力の全てを使って、いくつもの危機を脱出してきた。私は決して弱くはなく、敗北もしなかった。私を侮り汚そうとした悪意を、力の限り跳ね除けてきたではないかと思えた。理解していただきたいのは、「私たちはこのような弱い立場にいます。保護してください」と伝えたいのではないということだ。どのような現実があったにせよ、私達の多くは、自ら立ち向かってきたのである。今後、明らかにし、解決の道を探るべきは、差別と抑圧の現実である。 『障害のある女性の生活の困難−複合差別実態調査報告書』2012年 DPI女性障害者ネットワーク p38 ある障害女性のメッセージから  $3. 事例 「働く」ことと性別格差、性別役割分業について [18]交通事故で障害者になった。遺失利益は現在の男女の就業、賃金から割り出されるので、同じ障害で同じ状況であっても、男性よりもかなり低い賠償額になってしまった。(20歳代 肢体不自由) [19]ある企業の面接で、「うちは本当なら障害者は要らないんだよ。まだ男性で見た目に分からん障害やったらエエねんけどな〜。」と言われた。(30歳代 肢体不自由) [20]出産後の職場復帰で正職からパートになり、夫の扶養に入ることを勧められた。半年後、同じ職場の健常女性が出産した時は正職のまま復帰できた。(40歳代 視覚障害 難病) [21]私の夫は深刻なハウスダストアレルギー。主治医は私がうつ病で家事が辛いと知っているのに、掃除をするようにと私に言う。(50歳代 精神障害) [22]夫がちょっと家事を助けただけで「彼のおかげ、本当によくやっている」と褒められる。私はやって当たり前、できないと障害のせいにされる。(40歳代 視覚障害) [23]ヘルパーさんを入れて生活している。最近その時間を減らされ、料理などの手助けがもっと欲しいが、ヘルパーさんから「女なんだから、あなたがしなさい」と言われる。(50歳代 知的障害) [24]3人育てた。自分一人では歩けるが、子どもを抱くと歩けない。ベビーカーで行けるところ以外には出かけられなかった。当時は子育ては母親が担うものという時代で、男性の育児休暇も子育て支援策もなく、実家の母の助けがなければ無理だった。(50歳代 肢体障害) [25]子どもと外を歩いていると、よく、「お子さんが女の子でよかったですね」と言われた。子どもは「ご飯は誰が作るの?」という質問攻めに合い、かわいそうがられたり、ほめられたり、「あなたがしっかりしなさい」と言われたり・・・(50歳代 視覚障害) [26]最初にかかった精神科で主治医に、「女性で良かったね。障害者になっても家族や配偶者に養ってもらえる」と言われた。女は働かない、家族が面倒を見るという考えは許せない。(20歳代 精神障害) [27]父を遠距離介護した時期、「娘だから親の面倒を見るのは当たり前」という周囲の態度が辛かった。(50歳代 精神障害) $$ひとこと 私たちは障害があろうがなかろうが、女性は女性として尊重され女性施策の対象となり、子どもを産む産まないに関わらずその健康が保障され、多様で主体的な生き方が認められる社会となることを強く願い求めます。 *『女性の健康の包括的支援に関する法律(案)に対する意見書』結びの文章 2014年8月26日 DPI女性障害者ネットワーク  解説  障害に加えて女性であることによる複合的な困難は、収入の格差にも表れています。単身世帯について男性全体の年収を100とすると、女性全体は66、障害男性は44、そして障害女性は22(92万円)という低さです(註)。ここにその一端がみえる極端に貧困な状態は、経済的に自立した生活を妨げ、社会でほかの人とのつながりをもつこと、情報を得ること発信すること、健康を守ること、日常的な暴力・虐待・性的被害から逃れることのいずれについても障壁となっています。ただ貧乏というだけではない複合差別ゆえの問題であり、「障害者の性別に応じて、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮」(障害者差別解消法7条・8条)をするには、障害女性に対する性差別と障害者差別との複合的差別を解消していくことが必要です。  「家事や育児や介護などは女性が無償でするもの、男性は稼いで家族を扶養するもの」という固定した性別役割分業は、障害のある女性に対しては、働く意欲さえ否定し、どんなに無理をしても家事等をしなければならないという抑圧として作用しています。そして、家事や家族の世話をできないとみなされた女性に対しては、「女性なのにケアできない」ということが虐待や暴力の「理由」にされることさえ日々起きています。さらに、身辺の介助を必要としている女性は、「女性なのにケアが必要」とみなされて、一層の差別を受けていることがあります。性別役割分業を内包する性差別と障害者差別が切っても切れない関係にあることをふまえて取り組むことが求められています。 グラフ1 「仕事あり」の率(単位:%) 男性全体 89.3 女性全体 64.9 障害男性 42.4 障害女性 28.4 グラフ2 単身世帯の年間収入(単位:万円) 男性全体 409.4 女性全体 270.4 障害男性 181.4 障害女性 92 註)勝又幸子他「障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究」『厚生労働省科学研究費補助金平成17-19年度調査報告書』2008年、81頁表18を元に作成、グラフ化したものが「グラフ2」。「グラフ1」は同書37頁表5と39頁表10より数値を抽出して作成したもので「福祉的就労」は除いて集計している。 $4. これまでの議論から Q1.障害のある人は男性も女性も困難な状況におかれています。障害者の運動に力を注げば、障害女性の状況も自然に改善するのではないですか? A1.障害女性の課題について活動している人たちも、障害者全般の課題に並行して取り組んでいます。しかし、困難が複合するところに焦点をあてて重点的に取り組まないかぎりは、現状が変わることはないと考えています。多重的な困難を抱える人にこそ手厚い支援が必要です。それができなければ、誰もが生きやすい社会は実現しないのではないでしょうか。  また、男性の社会的役割とされていることとの関係では、障害のある男性は、男性としての困難を抱えているとも言えるでしょう。それは障害のある女性の課題とは別に取り組む必要がある課題です。 Q2.性別は「男性」「女性」だけではないこと、多様なセクシュアリティとの関係をどう考えますか? A2.障害がある人のなかにも当然、性的マイノリティの人がいて、身体的な性として男性・女性両方の特質をもつ人や、身体的な性(体の性)と性自認(心の性)が一致しない人もいます。その意味で、「性別」を男か女に二分できないと言えます。性的指向も、現状では「異性愛」以外は見えなくされているとも言えますが、異性愛・同性愛・両性愛・無性愛など、多様な性のありようが存在します。ただ、それと同時に、今の社会のなかで、性差別をはじめとする性別に関わる課題(ジェンダーの課題)は大きな課題であり、性的マイノリティの課題を考えていくこととジェンダーの課題を考えることは同時並行で考えていくべき大切な課題です。 Q3.障害者差別解消法ができ、障害者権利条約にも批准したので、障害女性への差別の解消も進むのではないですか? A3.改正障害者基本法、障害者差別解消法の条文には、障害のある女性の複合差別の課題はまだ明記されていません。それでも、障害女性の課題は今や、取り組むべき課題となっています。障害者権利条約には障害女性について独立した第6条等があり、条約を批准した日本政府は、障害女性が複合的な差別を受けていることを認識し必要な措置を講じなければならないからです。その点、国会審議を重ねて障害者差別解消法ができて障害者権利条約を批准した内容と意義を、よく読み込んで活用することが、私たち一人一人に求められています。  障害者基本法や差別解消法の今後の改正で、障害者権利条約第6条等に書かれた課題を書き入れ、日本における課題として明確に位置付けることが求められています。そして、国・自治体が、障害者に対する基本計画や条例などで実施していくことが不可欠です。法律や計画にただ書かれただけで現状が変わるわけではないことは、これまでの経過からも明らかです。例えばDV防止法は障害者も対象にしており、男女共同参画基本計画は複合的な困難がある女性に言及し障害女性もその中に含まれていますが、実際上は、障害女性を対象とした具体的な政策はほとんどなく、性別統計の整備も遅れており、総じて、障害女性の複合差別の課題への具体的な取組は進んできませんでした。だからこそ、主要な法律に盛り込むとともに具体的な政策目標とその実施のための計画をもって取り組むことが必要なのです。  18ページの「10 年表と今後の日程」にあるとおり、国内の障害者関係者の側から、政府報告の国連審査と勧告にむけて、積極的に情報提供、意見提出していくことも非常に重要です。そして、女性差別撤廃条約にも、障害女性の複合差別の課題を明記していく必要があります。 $5. 求めていること (1)基礎データ把握から政策立案まで  障害者に関わる国の調査統計データの多くは、性別による集計がなされていないため、障害者全体の中で性別による格差があるのかどうかも把握しにくいのが現状です。基礎データなしに的確な政策を立てることはできず、逆に言えば、それだけ放置されてきたということになります。  例えば、相談窓口に障害のある女性からのDV相談は何件あって、その後はどのような経過をたどったか。何人が緊急避難できたのか。医療機関を受診するときにどのような障壁があるか。裁判など司法手続きでの困難はどこにあるか。働いている障害者のなかに女性は何人いて、年齢階層、雇用身分、労働時間、賃金、勤続年数、障害種別などとクロスしたときの実態と課題はどうか。政策決定過程への参加はどの程度までできているか。いずれも国レベルの調査分析はなく、対策も計画も存在していません。この状況を変えるためには、障害者の課題のなかにジェンダーに関わる課題があるという認識に立って、調査研究および情報・データの充実を図る基本方針をもって、各種の統計データには性別集計をいれることを標準とし、一層の調査研究、課題把握が行えるようにすることが必要です。 (2)サービスの提供、相談体制、あらゆる分野で支援にかかわる人づくり  官公庁、議会、教育機関、裁判所、警察などを含むあらゆる分野で、あらゆるサービスの提供、情報の収集と提供、相談と支援の体制について、複合差別および合理的配慮の観点からその整備を進めることが必要です。障害女性当事者を講師として、障害に関する知識や障害のある女性の実情を理解する内容を研修に盛り込み、障害のある女性への適切な支援が行える人を幅広く育成することを求めています。 (3)障害のある児童生徒を含めた性教育の推進   障害がある人は、しばしば、「性が無い」かのように扱われるか、「性」を搾取されてきました。どちらにしても人間扱いではありません。現在も小学校と特別支援学校において最も性教育が遅れています。子どもから大人まで、自分の心と身体を知り、被害者にも加害者にもならない関係を人と結んでいくための基礎的な教育は、安心して相談できる支援体制と併せて非常に重要です。子どもを産もうとする人への支援、そして産まない選択をする人への支援、障害のある人それぞれの状況に応じた使いやすい避妊薬・器具の開発も必要なことです。 (4)当事者参画の確保  障害者差別解消法17条に規定された障害者差別解消支援地域協議会をはじめ、国や地方公共団体の委員会、審議会、検討会等の構成について、ジェンダーの釣合いをとり、障害のある女性の課題に取り組んできた障害女性当事者の参画を確保し、活動しやすい環境づくりを進めることが不可欠です。    障害の有無で分けられてきたために、女性のなかにおいても障害のある女性は「見えない存在」となりがちでした。社会のあらゆる場面で、「他の者との平等を基礎として」(障害者権利条約の柱)、「障害の有無で分け隔てられることなく、共生する社会の実現」(障害者差別解消法の目的)を進めていきたいものです。 $6. 法律条文など $$障害のある人の権利に関する条約(川島聡・長瀬修仮訳)2008年5月30日付 第6条「障害のある女性」 1 締約国は、障害のある女性及び少女が複合的な差別を受けていることを認識し、また、これに関しては、障害のある女性及び少女がすべての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。 2 締約国は、この条約に定める人権及び基本的自由の行使及び享有を女性に保障することを目的として、女性の完全な発展、地位の向上及びエンパワメントを確保するためのすべての適切な措置をとる。 (註)障害者権利条約は、6条以外にも、前文と各条文の随所で障害のある女性について述べている。なお、日本政府仮訳は、6条(Women with disabilities)を「障害のある女子」、前文(s)のジェンダーの視点(gender perspective)を「性別の視点」等と訳しており、使用がためらわれるため、川島・長瀬訳を掲載する。 $$配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)2004年改正法 第23条1項(職務関係者による配慮) 配偶者からの暴力に係る被害者の保護、捜査、裁判等に職務上関係のある者は、その職務を行うに当たり、被害者の国籍、障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに、その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。 $$障害者基本法 *2条「社会的障壁」4条「差別の禁止」などを定義。障害者基本法の歴史上初めて、「性別」という言葉が10条「施策の基本方針」、14条「医療、介護等」と26条「防災及び防犯」に入った。 10条(施策の基本方針)の1  障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。 14条(医療、介護等)の3 国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 26条(防災及び防犯)  国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。 $$ひとこと 本日、京都府議会本会議にて条例が可決されました!皆さま有難うございました。思えば、一昨年(2012年)3月に初めて行われた条例検討会議には女性障害当事者は入っていませんでした。決して100%の条例とは言いませんが、私達が心血を注いで勝ち取った条例だと思います。これで終わりではなく新たなスタートラインに立ったという思いでいます。これから、この条例によって、人が人として生きる当たり前の権利が保障され生きられるようにするために検証していきたいと思います。 村田惠子さん 肢体障害 京都府府条例検討会議第二回からの構成員 京都頸髄損傷者連絡会 $$障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(略称=障害者差別解消法) 1条(目的) この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 7条(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 1 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 8条(事業者における障害を理由とする差別の禁止)主語が「事業者」になる他は7条にほぼ同じ $$障害者差別解消法 国会答弁(部分引用) 本法律案におきましては、不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供を差別として禁止しているわけでございますが、これは、国連障害者権利条約における障害を理由とする差別を禁止する規定を踏まえたものでございまして、したがいまして、基本的な考え方を示す基本方針につきましても、この障害者権利条約等の考え方を踏まえたものとして策定するものというふうに考えている次第でございます。本法案におきましても、女性や子供への配慮、これ大変大事であるという認識の下に、第7条の第2項及び第8条第2項でございますが、年齢、性別及び障害の程度に応じて、必要かつ合理的な配慮を行わなければならないという規定を置いてございます。したがいまして、これを踏まえながら今後基本方針やガイドラインを策定してまいりますが、その際には女性や子供に対する配慮を十分に行っていくというふうに考えている次第でございます。(山崎史郎内閣府政策統括官 2013年6月18日参議院内閣委員会) まず、女性に対する差別の撤廃につきましては女子差別撤廃条約に規定をされております。しかしながら、この女子差別撤廃条約には障害のある女性に対する独立した条文は存在いたしません。政府としましては、障害のある女性が複合的な差別を受けており、そして社会的弱者の中でも特に弱い立場に置かれやすいこと、これを認識をしております。ですから、障害者権利条約、御指摘の六条ですが、本条はこのような認識に立ち、そうした方々の権利の保護、促進を図るべきであるとの考え方から創設されたものと承知をしております。(岸田文雄外務大臣2013年12月3日参議院院外交防衛委員会) $$障害者差別解消法の附帯決議 1 また、同条約(権利条約)の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ること。 (2013年6月18日参議院 内閣委員会、第1条の部分引用) $7. 基本文書、基本計画など $$第三次男女共同参画基本計画 (男女共同参画基本法にもとづいて閣議決定)2010年 第8分野の2 障害者が安心して暮らせる環境の整備−施策の基本的方向 障害のある男女それぞれへの配慮を重視しつつ、障害のある人もない人も共に生活し活動できる社会の構築を進める。その際、障害のある女性は、障害に加えて、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることに留意する必要がある。 ア 総合的な障害者施策の推進 ・共生社会の考えの下、障害者が地域で自立して暮らせるようにするため、日常生活や社会生活の支援を図っていくことが重要である。このため、障害のある男女それぞれのニーズへの対応に配慮しつつ、障害のある人々に対するサービスの整備、障害のある人々が社会生活を送る上で直面する物理的な障壁、制度的な障壁、文化・情報面での障壁、意識上の障壁等の除去に向けて、各種施策を総合的に推進する。 ・障害者の権利に関する条約(仮称)の締結に必要な国内法の整備を始めとする我が国の障害者に係る制度の集中的な改革を行うこととしており、障害者基本法(昭和 45年法律第 84 号)の改正、障害を理由とする差別を禁止する法律の制定、障害者総合福祉法(仮称)の制定等を目指す。 ・上記の検討・構築に当たっては、「男女の平等」を含む上記条約の原則を十分に踏まえるとともに、男女別の統計情報の充実等についても検討するなどして男女共同参画の視点に十分配慮する。 $$障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)(内閣府障がい者制度改革推進会議)  第2 障害者政策の基本的考え方−2「差別」のない社会づくり  女性であることによって複合的差別を受けるおそれのある障害のある女性の基本的人権に配慮する。(第一次意見は2010年6月決定) $$障害者制度改革の推進のための第二次意見 (内閣府障がい者制度改革推進会議)2010年12月 2 総則関係の5)障害のある女性 これまでの障害者施策には、障害者の中でもっとも差別や不利益を受けるリスクの高い女性が置かれている差別的実態を問題にする視点が欠落していたと言わざるを得ない。 障害のある女性が家庭の内外で暴力の犠牲になりやすい存在であること、すべての女性が当然享受できるはずの性と生殖の権利を認められなかった過去の歴史等、不当に取り扱われてきた事実を受け止め、障害のある女性の性と生殖に係る人権が、侵されないよう、最大限の注意をはらわなければならない。 〇複合的な困難を経験している障害のある女性が置かれている状況に十分に配慮しつつ、その権利を擁護するために必要な施策を講ずること。 $$第3次障害者基本計画(障害者基本法にもとづいて閣議決定) 2013年 「基本的な考え方」の「各分野に共通する横断的視点」の(3)障害特性等に配慮した支援  障害者施策は,性別,年齢,障害の状態,生活の実態等に応じた障害者の個別的な支援の必要性を踏まえて,策定及び実施する。特に,女性である障害者は障害に加えて女性であることにより,更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること,障害児には,成人の障害者とは異なる支援の必要性があること,に留意する。 「推進体制」の5「調査研究及び情報提供」 障害者施策を適切に講ずるため,障害者の実態調査等を通じて,障害者の状況や障害者施策等に関する情報・データの収集・分析を行うとともに,調査結果について,本基本計画の推進状況の評価及び評価を踏まえた取組の見直しへの活用に努める。また,障害者施策の適切な企画,実施,評価及び見直し(PDCA)の観点から,障害者の性別,年齢,障害種別等の観点に留意し,情報・データの充実を図るとともに,適切な情報・データの収集・評価の在り方等を検討する。 $8. 地方条例と障害のある女性 *2009年の「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」に始まって、障害者差別解消法の成立以降はさらに各地で条例の検討、制定が進められ、沖縄県のように性別について記述した自治体や、京都府のように検討過程から障害のある女性が積極的に参画して、障害のある女性の複合的な困難について明記した自治体が出てきています。 −− $$沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例 2013年 7条の2(障害を理由とする差別の禁止等) 何人も、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 28条(移動等の円滑化を図るための都市等のデザイン及びバリアフリー化の促進) 県は、障害のある人の移動又は施設の利用の円滑化を図るため、障害の有無、性別、年齢等にかかわらず多様な人々が利用しやすいように考えられた都市又は生活環境のデザイン並びに障害のある人が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等を促進するために必要な施策を講ずるものとする。 $$京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例 2014年 2条の4(基本理念) 全て障害者は、障害のある女性が障害及び性別による複合的な原因により特に困難な状況に置かれる場合等、その性別、年齢等による複合的な原因により特に困難な状況に置かれる場合においては、その状況に応じた適切な配慮がなされること。 $$ひとこと 障害女性のことは、女性だけの問題ではない、いろんな人に知らせていく、一緒に考えていく、障害女性当事者が差別事例を恥ずかしくても出さなければ何も変わらないということで、京都は集会や勉強会を繰り返してきました。最初は無関心な人も、徐々に変わっていきました。障害女性当事者の「どうしても条例に入れたい」という熱意が必要だと思います。昨年(2013年)9月に京都府から出てきた最終まとめの内容に、障害女性について検討会議で話し合われたことが全然と言っていいほど記載されていませんでした。このままでは入らない可能性が大きいと思い、全国にパブリックコメントのお願いをし、京都ではパブリックコメントの書き方の勉強会を開き、またマスコミにも取り上げてもらいました。そして11月〜3月の可決ぎりぎりまで各党へのロビー活動を行いました。12月には府知事と面談が出来、直接お願いすることが出来ました。条例の形は出来ましたが、これからこの条例を生(活)かした条例にしていくために、試行錯誤しながらの日々が続くと思います。 香田晴子さん 肢体障害 日本自立生活センター *DPI『われら自身の声』30-1号 特定非営利活動法人DPI日本会議2014年6月 42頁部分転載 $9. 付録 $$障害のある女性の困難を可視化して 佐々木貞子 DPI女性障害者ネットワークメンバー、DPI障害者権利擁護センター相談員 ◆複合差別という認識  障害者差別も女性への差別も根強く存在しているこの社会の中で、障害があり女性であることは、重複した差別にさらされることであり、問題は錯綜し、解決への方策は複雑となる。  国連で採択された障害者権利条約は、第6条で障害女性は複合差別を受けており、自由と人権を保障するための適切な措置が必要であることを明記している。  しかし、日本では障害のある女性の困難についての認識度は低い。公的な障害者統計に男女別の集計データはほとんど存在せず、支援の場での事例も守秘義務として明るみに出ることはなかった。障害者施策からも女性施策からも谷間に置かれ放置されてきた。障害のある女性の自立をめざし当事者を中心に活動している「DPI女性障害者ネットワーク」は、これまで障害者制度改革の論議の中で、女性の課題が取り上げられるよう、積極的にはたらきかけを行なってきた。  さらに、自ら障害のある女性の困難を可視化しようとアンケートと聞き取りによる実態調査を行なった。並行して47都道府県の男女共同参画基本計画とDV防止基本計画の中で、障害のある女性を対象とする施策を検証する制度調査を行なった。これらをもとに2012年3月「障害のある女性の生活の困難・複合差別実態調査報告書」を発行した。 ◆実態調査から見えてきたこと  実態調査は「障害があり、女性であるために生きにくい」と感じた経験について自由に答えるもので、全国から87名の障害女性の生の声が集まった(図)。  回答のなかで一番多かったのが性的被害で、回答者の35%が、何らかの被害経験を受けていた。職場の上司から、家庭で親族から、学校や施設の職員から、街で見知らぬ人からと、状況は様々だが、立場の弱さから拒否しにくい、障害のため逃げにくいなど、加害者に付け込まれる傾向があり、経済的自立の困難もその一因となっていた。   図 グラフで見る調査の集計結果概要 障害種別(単位:人) 肢体障害 35 視覚障害 24 聴覚障害 5 精神障害 10 知的障害 2 難病 9 盲ろう 1 発達障害 1 回答者の年齢層 20歳代 6%(5人) 30歳代 17%(15人) 40歳代 24%(21人) 50歳代 27%(23人) 60歳代 18%(16人) 70歳代 1%(1人) 回答なし 7%(6人)  また、障害種別にかかわらず、介助時、必要以上の身体接触が不快と訴える声も多かった。本人が同性介助を訴えても、職員の都合により、排泄や入浴介助を日常的に男性が行なっているという、深刻な事実もある。 月経の介助を省くため、子宮摘出を勧められた、不良な子孫の出生を防止するための優生保護法のもと、十代の頃に不妊手術を受けさせられたという人もいた。最近でも「障害児が生まれるのでは」「子どもが育てられるのか」という理由で、医師や親族から堕胎を勧められたという経験があった。 従来の女性観や性別役割分業に縛られ「身体がつらくても家事を強いられる」という人がいる一方、「どうせできないだろう」と周囲から決めつけられたり、自身をありのままに肯定できないという声もあった。  さらに相談の場や保護施設で不適切な処遇を受けたという事例もいくつか寄せられていた。障害女性本人の訴えより関係者の意思を優先させる介入や、障害についての知識不足による対応等が見られた。 ◆施策に繋がらない現実  制度調査によると、多くの自治体は、障害のある女性、男性の「男女共同参画」に関わる課題の認識は低く、DV等の暴力被害についての状況把握も不十分であることも明らかになった。  シェルターを含む保護施設の物理面・情報面のバリアの解消はすすまず、高齢者や障害者の一時保護には、通常の福祉施設を活用するという傾向があり、それがさらに整備の遅れを助長している。福祉施設にはDV被害者に対応したセキュリティーはなく、被害者の安全は担保されない。  障害のある女性は家庭内に抱え込まれ親族や配偶者に依存せざるをえない経済的立場の弱さに加え、社会的支援へのアクセスが遅れがちで、教育、就労、介助、情報、子育て、住宅、医療などの資源も活用しにくい傾向がある。 ◆まとめとして  障害のある女性のおかれる現実を変えるためには、特有の困難を解決するための施策整備が必要であり、法制度に障害女性の条項を位置づけることが不可欠だ。  この2年間を振り返ると、内閣府障がい者制度改革推進会議および障害者政策委員会が、障害女性の課題を提言に記述するという前進があったものの、未だ法律に反映されず、実質的な改善につながってはいない。障害のある女性は単なる保護を求めているのではない。本来持っている力を削がれ、おとしめられている現状を変え、他者との平等を願っているのだ。  調査に寄せられた声の数々は、社会が抱える矛盾を静かに問いかけている。 *『月刊福祉』社会福祉法人全国社会福祉協議会 2013年2月号 52頁〜53頁 $$全国初、「障害のある女性」への複合差別について盛り込んだ条例が京都府で成立 2014年3月11日  2014年3月11日、京都府議会本会議にて「障害のある人もない人も安心して生き生きと暮らせる社会づくり条例」が可決、成立した(施行は2015年4月)。   この条例は、都道府県の障害者差別禁止条例としては、千葉県や熊本県などに続いて全国で7番目となるが、特筆すべきは、全国で初めて「障害のある女性」が「複合的な原因により特に困難な状況に置かれる」という文言(第2条)や、また「性別」への配慮という文言(前文、第2条、第8条)が入ったことである。これは、条例制定の過程で、京都府の検討会議委員の一人である障害女性が、事例を示しながら繰り返し訴えてきたことが実ったものである。  日本が先ごろ(2014年1月)批准した障害者権利条約の第6条には「障害女性」条項があり、複合差別を受けている女性・少女の人権擁護が定められている。また2013年6月に成立した「障害者差別解消法」(施行は2016年4月)の附帯決議の中にも複合差別が言及された。しかし法律・条例の本文で複合差別について明記されることはなかったため、今回の京都府の条例が貴重な先例になることが期待される。(松波めぐみ) *「ニュース・イン・ブリーフ」一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)   掲載URL: http://www.hurights.or.jp/archives/newsinbrief-ja/section1/2014/03/2014311.html $$東日本大震災を受けて ― DPI女性障害者ネットワークからの発信 瀬山紀子(DPI女性障害者ネットワーク) ◆激震と異常な緊迫感  翌日にDPI女性障害者ネットワーク主催の「しゃべり場」を予定していた3月11日、東京でもこれまでに感じたことがない強い揺れを感じた。その地震で都内の地下鉄・JRはほぼすべてストップ。都心では、帰宅困難となった人たちが電車の駅などにあふれかえった。  その夜、「すごい揺れでしたね!みなさん大丈夫でしたか?!明日のしゃべり場の開催はどうしたらいいでしょう?」という一人のメンバーからの発信をきっかけにメールが飛び交った。メールでは、帰宅できずに事務所に泊りになった、職場からのかなりの距離を歩きようやく帰りついた、車いすを電動から手動にかえて長距離をタクシーで帰宅したといった報告があり、しゃべり場は中止にして参加者に連絡を取り合うことが決まった。  ただ、仲間の無事が確認できたことの安堵感とはうらはらに、私たちは、徐々に今回の災害が、言葉を失うような未曾有の災害であることを実感していった。地震と津波での甚大な被害、原子力発電所の深刻な事故、さらに震災直後は東京でも食料品店の棚からものが消えるという事態―。異常な緊迫感のなかで情報を交わし合い一日が過ぎた。 ◆DPI女性障害者ネットワークからの発信  災害から二日後、DPI女性障害者ネットワークのメンバーから、官房長官宛てに災害支援に関して緊急要望書をだす動きが他の女性グループでもあり、障害の課題についても意見を伝える必要があるのでは、という呼びかけがあった。そのため、その日の夜のうちに緊急要望書「被災地における障害がある女性、男性等への支援について」をまとめた。このとき、要望のなかには、安積遊歩さんからの提言として、「日本の原子力政策を直ちに見直し、クリーンエネルギーに転換すること。いまからでも、すべての原子力発電所をただちに停止させる措置をとること。障害者問題のすべても、人が生きることから始まるのだから」というメッセージが本人からの強い願いで書き入れられた。  さらにその翌日の月曜日(14日)から、東京では突然といえる計画停電が実施された。それによって首都圏では多くの電車がストップ。介助者をいれた生活をしているメンバーやからは大きな不安と、実際に介助者がこられなくなり生活に支障がでているといった声がでてきた。人工呼吸器ユーザーや、電動車いすユーザーからの不安の声も聞かれた。  そうした不安や困難を抱えながらではあったが、火曜日(15日)には、要望書をバージョンアップして公表していこうと、地域の防災計画の策定に関わった経験があるメンバーの知識を最大限に活かした「障害がある被災者について知っておいてもらいたいこと」という文章ができた。さらにこれを基に『被災地での基礎的な障害をもつ人への対応』というリーフレットが協力者の手でまとまり、主にインターネットを通じた発信も行った。  リーフレットのはじめには「障害のある女性は、ふだんから情報が届きにくく、より声をあげて、ニーズを出しにくい立場におかれています」という言葉をおき、特に、被災以前から声をあげることが困難だった障害女性たちが、声をあげられる状況をつくらなければ、というメッセージを込めた。  リーフレットは多くの方の目にとまり、NHK教育テレビ「福祉ネットワーク」や朝日新聞といったマスメディアでも取り上げられ、たくさんの反響をもらうことができた。また、さまざまな方からの意見を付け加えながら、更新版を公開している。是非お読みいただければと思う。(インターネット上からの入手が困難な方はお問い合わせを!) ◆聞こえてきた障害がある女性たちの声  災害後、リーフレットによる情報発信などを続けるなかで見えてきたのは、東北の障害女性たちの過酷な現実だ。それは、被災前、親の反対で教育も福祉サービスも受けることができず、親族との同居生活で年金は使いこまれてしまい、温かい食べ物を食べることすらできずにいたため、避難所で数10年ぶりに、温かいお味噌汁を飲むことができたといった声だ。こうした話からは、災害の前の「元の生活に戻る」ことが本人にとって望みとはなりえないことがみえてくる。  これからの息の長い支援を通して、障害のある女性たちが、あたり前に、安心して、自分自身の生活を生きていくためにしなければならないことはたくさんある。 *DPI『われら自身の声』27-1号 特定非営利活動法人DPI日本会議 2011年6月  $$出生前診断に対するDPI女性障害者ネットワークの意見 2012年9月24日 *新型出生前検査導入の是非が議論、報道されたこの時期、障害女性の立場から意見を出したいと、皆で作りました。翌年3月、日本産科婦人科学会などが「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を発表。4月から臨床研究として検査が始まり、その後1年間に約7800人が受けて、異常の可能性ありとされた人の約8割が中絶したと報道されています。障害者の人権を高め、障害のない子を産めという女性への圧力をなくしたいものです。 −−  私たちは障害をもつ女性のグループです。1986年に発足し、ゆるやかなネットワークで障害女性の自立をめざし、社会に向かって意見の発信もしてきました。  障害者であることと女性であること、その差別もあわせて経験し、子どもをもつかもたないかを悩むこともある、その立場から出生前診断の新しい技術について、意見を言いたいと思います。  出生前診断の新しい技術が使われることを報道で知り、私たちはたいへん憂慮しています。この秋から始まるいくつかの病院での検査は、国内で多数の医療機関が検査を導入した場合の課題を、あらかじめ検証する臨床研究であるとのことです。そのため、対象を35歳以上に、あるいは胎児が“染色体異常”をもつ可能性のある場合に限り、件数も限って行うと聞きます。しかし、検査の精度の高さと妊婦さんや胎児にリスクが低いことは、すでに広く報道されました。今後、妊婦さんが検査を勧められる機会、受けるかどうか考える機会が増えて、問題もまた増えていくことでしょう。  私たちの社会が、今すでにある以上に出生前診断を普及させてよいのか、さまざまな立場の人が話し合う場が必要ではないでしょうか。 ◆障害をもつ人にとっての問題  新しい技術が高い確率で診断できるのは、3種類の“染色体異常”とのことですが、名称をあげられた障害をもつ人はもちろん、他の障害をもつ人にとっても、障害をもつことそれ自体が否定されるような不安を抱きました。  “障害”が生まれる前に検査対象になる、そんな社会のまなざしは、自分を大切に思う気持ちを深く傷つけます。  この検査で調べる“染色体異常”は、胎児治療の対象にならないことから、多くの報道が指摘するように、検査が普及すれば胎児の障害を理由とする人工妊娠中絶が増える可能性はあると思います。  現在の母体保護法には、「胎児の障害」を中絶の理由とする条文――胎児条項はありません。これまで何度か必要であるとの意見が述べられ、今後も提案されるかも知れません。しかし胎児条項は、国が障害をもつ胎児の中絶を認めると、法律に明記することです。それが良い結果につながるとは、私たちはとても思えません。胎児条項をつくることには反対します。  人は、偶然にさまざまな特性をもって生まれます。心身の機能が他の人と違うこともそのひとつです。それが“障害”になるかどうかは、社会の側の問題でもあるという認識――「社会モデル」が、2006年国連総会による「障害者権利条約」の採択以降定着しつつあります。障害というものは、個々人がもつ心身の機能と社会的な障壁が、相互に作用して生じると考えて、社会の側が変わろうとしているのです。  胎児の特性によって産むか産まないかの選択がなされるとすれば、障害を個人の問題に押し戻し、社会モデルに逆行していくのではないでしょうか。 ◆子どもをもとうとするカップル、とくに女性にとっての問題  子どもを望んでいたのに、胎児の検査をして、産むか産まないかを考えなければならない、出産を断念する場合もあるとしたら、カップルとくに女性にとって大きな悩みとなります。妊娠・出産、出生前診断を経験した女性への調査では、検査に肯定的な意見もある一方、検査を受けることやその結果の受け止めに、多くの戸惑いと不安が語られています。女性が検査を“選択”する背景に、目を向ける必要があります。  今の社会では残念ながら、障害はマイナスのイメージを与えられています。生まれる子の障害は、妊娠・出産する女性にその責任があるように見られることもしばしばです。子育てに対する責任も女性に多く問われ、社会の支援は決して充分ではありません。  障害をもつ子の子育てが、そうでない場合に比べて困難な中で、検査の方法だけがあり、産むか産まないかの決断を女性が迫られるなら、子が障害をもって産まれることを女性に回避させる圧力となります。自由な意志での選択とはいえません。それでも、女性が望んだことと解釈され、選択の結果を引き受けるのも女性。辛すぎることです。  子どもを産み育てたいと望む人に必要なのは、生まれる子の障害の有無にかかわらず、同じように祝福されて、同じように育てることができる支援ではないでしょうか。  障害への偏見がとりのぞかれるとともに、障害があってもなくても、育てようとする人を支援する社会制度が充実してほしいと思います。 ◆求めること伝えたいこと  出生前診断はすでにたくさんの技術が開発され、使われています。私たちの社会は、もっと充分にこの問題を話し合ってくるべきでしたが、残念ながらその機会がないまま技術の導入が先行してきました。この検査については、今からでも、導入の是非を広く話し合うことが必要です。  議論が充分でないままに、この検査がマススクリーニングとして行われる――妊娠した誰でもが受ける検査となってしまわないよう、強く希望します。 〈医療従事者の皆さんへ〉  日本産科婦人科学会は、出生前診断に関する指針を作る方針と聞きます。その作成にあたって、障害をもつ人の声を、ぜひ取り入れてください。  また、妊娠・出産にかかわる医療に従事する方たち、あるいはカウンセリングにあたるなど検査に携わる方たちの、養成や研修の課程に、障害当事者と直に接する機会を設けてください。  医師から妊婦さんへの説明、カウンセリングにおいて、障害について偏りのない情報を提供してください。その障害とともに暮らしている人たちの団体があれば、妊婦さんに紹介してください。 〈これから子どもを産み育てようとする皆さんへ〉  これから子どもをもとうとする人、とくに女性に伝えたいことがあります。検査をどう感じるか、違和感や戸惑いがあるとしたら、どうぞ表明してください。安心して妊娠・出産できるためには何が必要か、考えて、社会になげかけてください。  障害をもつ子の親の皆さんは、その経験や新たな検査の導入に感じることを、社会に、これから子どもをもとうとする人に、どうぞ伝えてください。 〈障害当事者の皆さんへ〉  障害をもつ私たちは、自分たちが、思われているよりもずっと充実した人生を生き、社会をよくしていく力があることを発信しましょう。  検査は万能ではありませんし、出生前には分からない障害もあります。人の作為にかかわらず、障害のある人は必ず生まれてきます。生まれたあとに障害をもつこともあります。また、高齢社会の今日、個人の人生においても障害のある時期とそうでない時期があるでしょう。障害のある人もそうでない人も共に生きる時代をどう作るか、それこそが課題ではないでしょうか。 以上 $$「女性障害者3割セクハラ被害」2012年5月10日 毎日新聞 女性障害者3割セクハラ被害 差別禁止法案反映へ 内閣府あす聞き取り  障害者問題に取り組む女性らの団体が「障害者であり、女性であるため生きにくいと感じた経験」について障害のある女性87人に尋ねたところ、3分の1を超える31人がセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を挙げた。夫が友人から「もっといいのがいただろうに」と言われたなど差別発言も目立つ。内閣府の作業部会は11日に団体関係者のヒアリングを行い、来年の通常国会への提出を目指す障害者差別禁止法案の作成に生かしたい考えだ。【野倉恵】  東京の市民団体「DPI女性障害者ネットワーク」(南雲君江代表)が昨年5〜11月、他団体などを通じて調査。75人が書面で答え、16人が聞き取りに応じた。4人は両方に答えた。北海道から沖縄県在住の20〜70代で、肢体不自由35人▽視覚障害24人▽精神障害10人▽難病9人▽聴覚障害5人−など。  複数回答で計227件の具体的な体験が寄せられ、性的被害については31人が45件を挙げた。最もひどいケースでは性交渉を強要されていた。  医療現場は16件で、産婦人科で内診台のカーテンを閉めるよう頼んだ視覚障害のある女性(30代)が、スタッフから「見えないからいいじゃない」と言われた例も。仕事を巡る差別19件のほか、障害者用トイレが男性用にしかないなど日常生活の困りごともあり、差別を受けたことはないと答えたのは一人だった。  同団体は「障害のある女性は二重の意味で差別や苦痛を受ける場合が少なくない。広く掘り起こすことが法案作成に向けても大切だ」と指摘している。 (囲み記事)主な回答 ・母親の恋人から入浴介助される際、胸などを触られたが、母に言っても信じてもらえなかった(30代、肢体不自由) ・タクシー運転者が「目が見えなくてかわいそう。女にしてやりてえ」といい、モーテルに連れ込もうとした(50代、視覚障害) ・一人で営業するしんきゅう院で、初めて来た男性患者が入るなり全裸になった。以降、男性患者が怖い(50代、視覚障害) ・夫が友人から「もっといいのがいただろうに」と言われる。弟が私の障害を理由に結婚を断られたと聞いた(50代、知的障害) ・10代だった頃、不妊手術を受けさせられた。子供を産めないことが原因で離婚し、再婚の夫も家を出た(60代、精神障害) ・初めて出産した時、見舞いに来る人から必ず「耳は大丈夫?」「聞こえる子でよかったね」と言われた(30代、聴覚障害) ・出産した健常者の同僚は正職員で職場復帰したのに、自分はパートにされた(40代、視覚障害・難病) 実態知らせるメッセージに  回答者の一人、森崎里美さん(38)=兵庫県たつの市=は脳性まひで肢体不自由の障害がある。女の子2人を育てるシングルマザー。「障害者は孤立しやすく、特に女性は恥ずかしさもあり被害は埋もれている」と話す。  勤務していたJR西日本の上司の男性から性交渉を強要されたとして男性らに損害賠償を求め、大阪高裁で昨年11月、逆転勝訴した森崎さん。被害を受けた後、リストカットしたこともあるが、支援者らに支えられ、今では「こそこそ生きるのはおかしい」と実名で講演もしている。  森崎さんは「女性だから受けやすい差別が現実にはある。障害者差別禁止法ができれば社会全体にこうした被害の実態を知らせるメッセージになる」と期待している。 *この付録への掲載にあたり、筆者の皆さま、掲載元から転載許可をいただきました。有難うございました。 $10. 年表と今後の日程 一段目 年 二段目 国内の日程 三段目 人権条約と日本政府報告 事前審査、パラレルレポート 2006 − 障害者権利条約成立 2010 第3次男女共同参画基本計画 決定 − 2011 障害者基本法 改正成立 − 2013 障害者差別解消法 成立 第3次障害者基本計画 決定 2014 障害者差別解消法の基本方針、対応要領、対応指針など策定へ 障害者権利条約を日本政府が批准 女性差別撤廃条約 日本政府報告の提出 2015 障害者基本法施行後3年の節目の見直し、差別解消地域協議会モデル事業 女性差別撤廃条約 政府報告審査へ 2016 差別解消法 施行 障害者権利条約 日本政府初の報告提出 2017 政府報告をチェックして、国連障害者権利委員会に、日本政府報告の事前審査のための質問(List of issues)に盛り込んでもらいたい事項について情報提供をする 障害者権利条約 政府報告の事前審査 2018 List of issues への政府回答をチェックして、政府報告に対するパラレルレポート(障害当事者から見た条約履行状況の報告書)を出す 障害者権利条約 政府報告の本審査と勧告 2019  差別解消法 施行後3年の節目の見直し − $$ケーススタディ 相談窓口の案内に、電話番号しか書かれていないため、相談することもできないという、障害のある女性がいます。   どのような状況なのか、 そして、どんな改善策が考えられるでしょうか? $$話し合おう 1 感想と自己紹介 2 自分の性差別にかかわる経験または性差別との複合差別の経験について 3 ディスカッション これからの課題、どう取り組んでいくかについて $11. DPI女性障害者ネットワークについて DPI女性障害者ネットワークは、障害のある女性の自立促進と優生保護法の撤廃を目指して、1986年障害のある女性たちの緩やかなネットワーク組織として発足しました。1996年に優生保護法が優生条項を削除し母体保護法となった後、活動を一時停止していましたが、障害者権利条約の成立やDPI(障害者インターナショナル)世界大会を機に、2007年に再始動しました。障害のある女性をめぐる国内外の様々な課題への施策提言や啓発活動に取り組んでいます。 今年は・・・運営会議(ほぼ毎月)のほか、 2月 第6回「しゃべり場」を開催 4月 障害者政策委員会ヒアリングで発言 5月 自由権規約委員会にパラレルレポート 6月 DPI静岡集会で女性障害者分科会開く 10月 日弁連人権大会パネルディスカッション 「われら自身の声」(DPI日本会議季刊誌)にも連載し、最新情報や各地からの声を寄せています。 *メディアの取材を受けた最近の記事から 2013/06/23 NHK第二ラジオ『聞いて聞かせて』「私たちの生きにくさ〜障害のある女性として」 2014/01/18 毎日新聞英字版 障害女性の複合差別をなくそうとする草の根のネットワークの活動 2014/03/13 神戸新聞 「個性」と呼べる社会に 病気で視覚に障害 藤原久美子さん 2014/05/26 アエラ(AERA)「障がいを持つ女性たちの1/3超に性的被害」 2014/06/05 ふぇみん 全国初障害女性の複合差別が条例に  DPI女性障害者ネットワークの刊行物 『障害のある女性の生活の困難―人生の中で出会う複合的な生きにくさとは ―複合差別実態調査報告書』 A4判68頁、2012年3月初版、現在第四刷 『活動報告&資料集2007』 A4判60頁、2008年5月発行 *どちらも頒価千円(送料込み)で、点字版・テキストデータ版(視覚障害等で活字印刷は読めない方に、「個人利用、複製不可」の条件で提供)もあります。 このテキストを使用されていかがでしたか。わたしたちは、女性の課題で活動している人たちにも、さまざまな立場の男性にも、障害女性の課題について知らせ、共に取り組んでいこうとしています。メーリングリスト(たんぽぽネット)も運営して幅広く情報交換を進めています。こうした活動に関心がある方は、是非、DPI女性障害者ネットワークまでご連絡ください。   南雲君江(代表)ほか一同 DPI女性障害者ネットワーク 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3−11−8  武蔵野ビル5F TEL: 03-5282-3730 FAX: 03-5282-0017 Email: dpiwomen@gmail.com http://dpiwomennet.choumusubi.com/ 2014年10月31日版